大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和32年(オ)420号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士菊池哲春の上告理由について。

しかし、民法四六〇条二号は主債務が弁済期に在るということだけで保証人の求償権の事前行使を可能としているのであつて、所論のような場合を除外して解釈しなければならないという根拠はどこにも見当らない。従つて、本件配当期日たる昭和三〇年一二月一三日以前である同年一一月二日に主債務の弁済期がすでに到来していたという原判示の場合において、被上告人の配当要求を適法とした原審の判断は正当である。所論は被上告人の求償権が根抵当権によつて担保せられているが故に民法四六〇条二号の保護を受けないとする独自の見解に基くものであつて、採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 高木常七)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例